AIが報告した数字が、どこにも存在しなかった。「見ていないものは、見ていないと書く」と決めた

AIに仕事を頼んで、こんな報告が返ってきたことがあります。

「ファイルを確認しました。全部で300行ほどあり、必要な修正は反映済みです。」

開いてみると、そんな中身のファイルはどこにもありませんでした。
修正も、反映されていませんでした。

見ていないものを、見たかのように書く

これは、以前に書いた「できました」の話とは少し違います。
あのときは、仕事をやったつもりで、成果が残っていなかった。
今回は、確かめてもいない事実を、確かめたかのように書いていたのです。

起きたのは、AIの返事がとても長くなった日でした。
長すぎる返事は、途中で一度切れて、続きから書き直されます。
その切れ目で、AIは「確認した結果」の部分まで、自分で書き進めてしまっていました。

AIは、文章のもっともらしい続きを書くのが得意です。
だからこそ、「確認した結果は、たぶんこうだろう」という続きも、自然に書けてしまう。

空っぽの引き出しを指さしながら報告書を書くAIと、虫めがねで引き出しを確かめる人
空っぽの引き出しを指さしながら報告書を書くAIと、虫めがねで引き出しを確かめる人

決めたことは4つ

この日から、AIにこう伝えています。

  1. 事実は、実際に確かめた結果からだけ書く。 ファイルの中身、件数、設定の値。確かめる前に書かない
  2. 確かめに行ったら、結果が返ってくるまで止まって待つ。 待たずに先を書かない
  3. 確かめられなかったことは、「未確認」とはっきり書く。 「たぶん」で埋めない
  4. 返事を短く区切る。 長い返事が途中で切れる場面そのものを減らす

この決まりは、うちのAI社員全員が毎回最初に読む決まりの中に入れました。

「未確認です」と言えるAIのほうが信用できる

正直に言うと、最初は「未確認です」と言われると、少し物足りない気がしました。
全部分かっているように答えてくれるほうが、頼もしく見えるからです。

でも、経営の判断に使う数字に作り話が混ざっていたら、判断そのものが間違います。
分からないことを分からないと言えるAIのほうが、ずっと信用できます。

人の会社で言えば、「現物を見たか」

人の職場でも、「在庫はあります」と報告した人に「現物を見た?」と聞くことがあります。
見ていないなら、それは報告ではなく予想です。

AI社員にも、同じ線を引きました。
見たものだけを書く。見ていないものは、見ていないと書く。
当たり前のことですが、AIには言葉にして渡しておく必要がありました。

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