開きっぱなしのメモ帳が、AIの書き足した1行を消した。設定ファイルは人の手で触らない

AIに言われるまま、設定ファイルをメモ帳で開いて、3行書き足して保存しました。
それだけで、ある部署のAIが4日間、仕事をしなくなりました。

何が起きたのか

2026年9月のことです。
AIから「この設定ファイルに、この3行を足して保存してください」と案内されました。
パスワードのような、AIに直接渡したくない値が入る行です。

私はメモ帳でファイルを開きました。
ただ、すぐには保存せず、少し席を外していました。

その間に、別の仕事をしていたAIが、同じファイルに1行を書き足していました。
ある部署の「見回る範囲」を広げるための1行です。

30分ほどして、私はメモ帳に戻り、3行を足して保存しました。

メモ帳は「開いたときの中身」を持っている

ここが落とし穴でした。

メモ帳は、ファイルを開いた瞬間の中身を覚えています。
保存すると、その中身に自分の書き足しを加えたものを、丸ごと書き戻します。

つまり、私が開いた後にAIが書き足した1行は、私の保存で上書きされて消えました。
エラーも警告も出ません。

人が開きっぱなしにしていた古いメモ帳で保存すると、その間にロボットが書き足した1行が消しゴムで消えていく様子
人が開きっぱなしにしていた古いメモ帳で保存すると、その間にロボットが書き足した1行が消しゴムで消えていく様子

4日後に分かった

その1行は、ある部署の担当者がチャットで声をかけたときに、AIが拾うためのものでした。
消えたことで、その部署への見回りが止まりました。

気づいたのは4日後です。
その間、担当者からの声かけ5件に、AIは一度も反応していませんでした。
担当者からすれば「呼んでも返事がない」状態です。

決めたこと

人とAIが同じファイルを触ると、必ずぶつかります。
AI同士なら順番を守らせられますが、人間の「開きっぱなし」は防げません。
そこで、次のように決めました。

1. 設定ファイルは、人の手で開かない
秘密の値が必要なときは、私は別の小さなファイルに値だけを書きます。
それをAIが読み取り、設定ファイルに1行だけ足して、小さなファイルは消します。

2. 変える前に、必ず控えを取る
設定ファイルを変える前に、AIが日付入りのコピーを残します。
消えても、すぐ元に戻せます。

3. 足したものは、数日後にもう一度見る
見回りの範囲を広げたような変更は、数日後に「本当に残っているか」を実物で確かめます。
静かに消えたものは、誰も教えてくれないからです。

※2026年9〜10月時点の自社の記録です

読者の会社で使うなら

AIに仕事を任せ始めると、人とAIが同じ表やファイルを触る場面が増えます。
共有の表を開きっぱなしにして、誰かの入力を上書きしてしまう。人間同士でもよくある事故です。

AIが相手だと、その事故がもっと静かに起きます。
AIは文句を言わず、消えた分の仕事をしなくなるだけです。

  • 人が触るファイルと、AIが触るファイルを分ける
  • 同じファイルを触るなら、どちらか片方にだけ書かせる
  • 変える前に控えを取る

この3つだけでも、「なぜか動かなくなった」はかなり減ります。