AI社員の記憶が、パソコン1台にしか無かった。毎朝のバックアップを3段にした話
AI社員に覚えさせた知識は、毎日増えていきます。
手順書、判断の基準、過去のやり取りの要約。いまや、うちの会社のいちばん大事な財産です。
それが、パソコン1台の中にしか無い部分があったと気づいたのは、2026年8月の終わりでした。
クラウドに残っていたのは「保存済み」の分だけ
知識は、クラウドの保管庫にも送っています。
だから、パソコンが壊れても大丈夫だと思っていました。
ところが、送られていたのは「保存済み」として確定させた分だけでした。
AIが書いたばかりで、まだ確定していない知識が172件。
ほかにも、外部サービスとつなぐための設定や、会話の記録が、パソコン1台の中にだけありました。
※件数は2026年8月時点の自社の記録です
パソコンが壊れたら、ここ数日分の仕事と、仕組みを動かす設定がまとめて消える。
そういう状態で、毎日AIを回していたわけです。

毎朝、3段で守る
その日のうちに、毎朝の自動バックアップを作りました。守り方は3段です。
- 丸ごと写す:作業中のものも含めて、全部をバックアップ専用の外付けの記憶装置へ毎朝写す
- 日付ごとに残す:確定した知識は、日付つきで2週間分さかのぼれるように残す
- 大事な設定は鍵をかけて二重に:つなぎ先の設定などは暗号にして、外付けとクラウドの両方へ置く
時刻は、まだ誰も仕事をしていない朝6時台です。
鍵は、クラウドに置かない
3段目で迷ったのは、暗号を解く「鍵」の置き場所でした。
鍵までクラウドに置けば便利です。でも、それでは金庫の横に暗証番号を貼るのと同じです。
鍵は外付けの記憶装置と、私の手元の控えだけに置き、クラウドには置かないことにしました。
取っただけでは、バックアップではない
作った日に、もう1つやったことがあります。
実際に戻してみることです。
鍵をかけたものを解いて、元のものと1文字も違わないことを確かめました。
戻せることを確かめていないバックアップは、「たぶん大丈夫」にすぎません。
あえて、やらなかったこと
「まだ確定していない知識も、毎日自動でクラウドへ確定させればいいのでは」という案もありました。
これは見送りました。
書きかけのものや、外に出すべきでない内容まで、勢いで共有の場所に出てしまうおそれがあるからです。
作業中のものは外付けに写すだけにして、確定は人とAIが中身を見てから、という線を残しました。
読者の会社で使うなら
AIを使い始めると、知識はものすごい速さで溜まります。
一度だけ、次の3つを確かめてみてください。
- その知識は、どこに何か所あるか(1か所なら、それが弱点です)
- 外部とつなぐ設定や鍵は、どこに控えてあるか
- バックアップから、実際に戻したことはあるか
AI社員の記憶は、会社の記憶です。人の引き継ぎ書と同じように、守り方を決めておく価値があります。