AI社員は「人数」ではなく「線」で増やす

AI社員の話をすると、「何人いるんですか」とよく聞かれます。
でも、うちで本当に効いたのは人数ではありませんでした。
効いたのは、任せる範囲を区切る「線」です。

線がないと、AIは2通りに失敗する

線を引かずにAIへ仕事を渡すと、失敗の仕方は2つに分かれます。

  1. 毎回聞いてくる:「これで進めてよいですか?」の確認が山ほど届き、結局、社長の時間が減らない
  2. 勝手に進める:お客様への送信や削除まで、確認なしでやってしまう

どちらも、AIが悪いわけではありません。どこまで任されているのか、知らされていないだけです。

床に引いた1本の線の手前ではAIが自由に動き、線の向こうの送信・削除・支払いは社長の鍵でしか開かない様子
床に引いた1本の線の手前ではAIが自由に動き、線の向こうの送信・削除・支払いは社長の鍵でしか開かない様子

1本目の線:戻せるなら進む、戻せないなら止まる

うちのAI社員には、こう伝えています。

  • 戻せること(下書き、資料作り、社内の整理、設定の準備)は、確認を待たずに最後まで進める。終わったら報告する
  • 戻せないこと(お客様への送信、削除、支払い、契約)は、必ず止まって社長の承認を待つ

迷ったら「戻せるか」で決める。これだけで、確認の数がぐっと減り、事故はほぼ起きなくなりました。

ポイントは、戻せない操作は「お願い」で止めるのではなく、最初から権限を渡さないことです。
「送らないでね」と書いておくより、送るボタンを持たせないほうが確実です。

2本目の線:同じ失敗が3回出たら、仕組みにする

もう1本は、失敗の扱い方です。

1回目は注意します。2回目も注意します。
3回目が来たら、注意はやめて仕組みで止めます。チェックを自動にする、手順に1行足す、権限を外す、といった形です。

人間の組織と同じで、注意だけで直る失敗は、だいたい3回目も起きます。
仕組みに変えた失敗は、二度と起きません。

線が増えるほど、任せられる範囲が広がる

おもしろいのは、線を引くほどAIに任せられる範囲が広がることです。
どこまでやっていいかがはっきりしているので、AIは迷わず最後まで進められます。
社長は、本当に判断が必要なことだけを見ればよくなります。

AI社員を増やす前に、まず1本、線を引いてみてください。
「戻せるなら進む、戻せないなら止まる」。ここから始めるのがいちばん安全です。